愛について?
両脚を抱え上げてその躯を揺らすと白い咽を見せて頚を反らせる。
細い金糸をシーツの上に散らしながら俺が突き上げるのに声も出さず口だけをぱくぱくと開くだらしない唇、
それすらも愛おしい。
こういう事に疎いからかそれとも知っていても恥ずかしくて口に出せないのかゴムを使えと言う事もない三蔵の中に俺自身から溢れるものをどろどろと流し込む。
尚も腰を動かすと三蔵の脚の間から俺の流し込んだものが零れシーツに染みを作って行く。
怠そうにうっすらと目を開き全身を弛緩させている三蔵に、もう止めなくてはと思うのに下半身にまた熱が集まり出す。手に入れたばかりの恋に俺は溺れていた。
好きだなんて告げる事すら赦されない相手だと思っていたし万が一俺の気持ちを知られても三蔵には負担になるだけだろうと思っていた。 三蔵が罪ではないと告げてくれた日から自分が人間でも純粋な妖怪でもない半端な存在だと言う事を気に病む事は無くなっていた。 だが誰かを本気で好きになったとすればまた別の話だ。 好きだと気付いてしまえばカラダは正直なモンで一夜限りの関係と割り切っている優しいオネエサン達にだって食指は動かなくなった。 痩せっぽっちでゴツゴツの男のカラダなんかより柔らかい女の身体の方が良いと頭では思っていても。 どうせ俺には手に入らない存在だと何度も諦めようと思ったし、一度は本気で諦めた。
それまで俺は誰も本気で好きになんかなった事はなかった。
思わず口笛を吹きたくなるような完璧なボディラインのムリ目の女をゲームの景品でも狙うように口説き落として一発ヤッて勲章のように連れて歩くのが面白いと思っていた頃もある。 セックスは愛の証ではなく征服の証だった。 脚を開かせいやらしい音を大袈裟に立てるソコに俺のモノを突っ込んで獣のように貪り合う遊び。
だけど三蔵の事を高嶺の花を落とすのが目的なだけの代わり映えしないゲームの景品だと思った事は一度も無かった。 掌を大きく開いても収めきれないでかい胸なんかなくても良い。 夜の酒場で腕を組んで歩いてオレのものだと戦利品のように見せびらかす事なんかなくても良い。 手に入れられるのであればセックスなんかしなくたって良い。 そう思っていたのに三蔵は俺の為に慣れない仕草でおずおずと脚を開いてみせた。 連日アタマのおかしくなった妖怪達につけ狙われては返り討ちにしだだっ広い桃源郷を突っ切って何時着くんだか分からないような西方天竺への旅の最中、 カラダは疲れきっている筈なのに宿で法衣をするりとその身から落とす三蔵の痩身を見ると興奮するし寝る事が駄目ならせめて一緒の布団に入るだけでも、 なんてしおらしい事を一応考えはするクセに気が付いたら脚を撫でさすり下着を取っ払って乱暴に寝間着も剥いで三蔵の脚の間に自分のモノを突っ込んでいる。 八戒と悟空の目を盗んでの服を着た侭下半身だけ繋げ合ってほんの5分で終わるような即物的なセックスにさえ三蔵は制止の声を上げた事は無い。
俺達がこんな事をするようになる前の事だ。三蔵が俺に触れられたら妊娠すると言ったのは。 おかしな事を言うとその時俺は三蔵の事を鼻で笑ってやった。 触った先から野郎だろうがなんだろうが孕ませられるヤツがいるんだったら連れて来て見せてみろやコラ、 幾ら博識な最高僧様だからっつってもどんなトンチキな事を抜かしても笑って赦して貰えるとナメてかかってんなら大間違いだ、 何だったらてめえの無学無知ぶりの墓標として明日っからてめえの事は妊娠坊主とでも呼ぶぞ、 せせら笑いながらも何故か身体は勝手に動き中坊のように震える指で三蔵の指先(!今時手も握らずに指先にだけ触れるなんてどんなアホだ) を握り締めてキスをした。 だけど実際今現在俺のしている事と言ったら三蔵が女だったらガキの一人や二人出来ちまってもおかしくないような事だ。 女相手には殆ど欠かさず装着していたゴムを使う事さえ思い付く事も無く生身の自身を肉を割って突き入れて行く。 まあ良いさどうせコイツは男だから生入れ中出ししたってガキなんか出来る筈がない。 ほら、俺に掴まって、なんて一見優しく聞こえる言葉を吐きながらラストスパート。 面白いように翻弄され陸に釣り上げられた魚のようにベッドの上で跳ねまくる三蔵の躯。勢い良く放出される大量の俺の精子。
平らな胸に耳を当てて心音を聞きながら指を絡めて眠りに落ちるような甘ったるい関係だって良いと思っているのに散々貪られた所為で艶めかしいチェリーピンク色に濡れている三蔵の唇に俺はまた口付ける。 自分は一度もイカないで指だけで女を失神させる事だって出来た俺が一体どうした訳だ畜生。どうしちまったんだ俺は。 物陰で激しく抱き合った後さっきまでナニをしていたか明白な位に衣服を乱しまだとろんとした目をしている女と並んで歩かないで突き放すなんて事も楽勝で出来たクールな俺は一体何処へ行っちまったんだ。 いや、自分の人格が勝手に何処かへ行くなんて事はあり得ない。 人格だけが自分を離れてひらひらどっかへ行っちまったら大変だ。さあ考えろ俺。 糸を織るようにじっくり時間をかけて慈しむような優しい間柄を築き上げていけたらそれだけで良いなんて嘘だ。 認めろ。認めてしまえ。目を見開いて目の前のカラダを見ろ。俺は三蔵の事が欲しくて欲しくてしょうがなくて飽きず繰り返し腰を振る。 ぶるりと身体を震わせて俺の手を腹を精液で濡らす三蔵がちゃんと感じている事は分かる。 だけどイイとかもっととか、俺の事を好きだ、とかはきちんとした言葉で聞いた事は無い。
「ね・・・気持ちイイ?」
こんな所に収めるには大き過ぎる俺のモノを無理矢理銜え込まされている所為でぴったりと隙間無くくっついている場所がどくどくと脈打っている。 呼吸を整えるのに必死な三蔵に俺の言葉は届いていないように見える。 三蔵の入口の淵、俺と繋がっている場所を指先でなぞってやると三蔵が俺をきつく締め付けて気持ち良い。
「ふ・・・っ」
「三蔵様ったらやーらしい。そんなに俺が欲しいんだ?」
「あ・・・っ、ちが・・・っ」
「ふうん。違うの」
力なく頚を打ち振るのに意地悪く言って三蔵の腹の上で立ち上がっているものを握る。
「・・・っ」
「ね・・・言ってよ。気持ちイイんでしょ?」
ぬるぬると零れるものと一緒に手の中に握り込んで擦り上げる。
「・・・・・・あっ、」
「ねえ、言ってみてよ」
「っ、アア・・・っ」
「お願いだから」