battery
「さんぞーっ!」
大声で呼び掛けて来る悟空の方を振り向きもしない侭三蔵は体を交わす。ゴスと、鈍い響きと共に妖怪の頭蓋が如意棒に叩き潰される気配。
仲間がどういった間合いで動くか、どの程度こちらの意図を汲めるか、口に出して確かめる必要も無い程4人の息は合っていた。 例えば、三蔵の背後の妖怪を倒す為に繰り出した如意棒の意図を汲めば三蔵自身は敵と如意棒の一直線上から身を引く。 或いは三蔵が自らの繰り出した如意棒の目標とする先までの中途に立っていたとしても必ず避けきると信じて如意棒を伸ばす。
今日も悟空の呼び掛けに応じた三蔵だが、 嘗て脳味噌だったに違いない細胞の混じっている血液が勢い良く自分の方へとぼたぼたと降って来るのを見てはっと目を見開いた。 咄嗟に眼を細めながら敵の頭蓋から飛び散る脳漿と血液を頭から引っ被りながら三蔵が思ったのは
「加減ってモノを知らないのかバカ猿」
と言う罵りだった。口を開けば口内に血が入り込んで来る為言葉には出される事が無かったが。
顔半分と法衣までを血みどろにした侭臆す事なく三蔵は銃撃を続ける。




実力差は明らかであったにも関わらず正気を失っている妖怪達は怯む事無くわらわらと三蔵一行に襲い掛かり続けた。 数を恃みとしたその攻撃はコンビネーションの欠片も無く時間こそかかりはしたが特に手間取る事も無く悟浄の錫杖に胴体を殆ど真っ二つにされた妖怪がどうと地に倒れ伏すのを最後に一行は緊張を解いた。 全ての敵を葬った後には妖怪の凶暴化が騒がれている昨今でなければ「大量虐殺」と新聞の一面に載るであろう程の死体の山が築き上げられていた。
「三蔵、怪我はありませんでしたか」
「ああ・・・」
ほう、と爽やかに息を吐いた後八戒が血塗れの三蔵の姿に眉を顰めて訊ねるのに漸く三蔵は自らの姿を顧みた。 白い筈の法衣は返り血で赤く濡れていて髪も乾き始めた血でごわごわとなっている己の姿に乱暴に手の甲で顔を拭おうとするのを顔を洗った方が良いと八戒が押し留める。
「さんぞー、ゴメンッ!」
自分よりも頭一つ低い所からあわあわと聞こえて来る謝罪の言葉にそもそもの元凶はコイツだと眉間に皺を寄せ三蔵は視線を下に向けるがふと見下ろした視線の先、 法衣の肩に生臭い脳漿のカケラを発見し不意にそれ迄バカになっていた嗅覚を取り戻す。
「う・・・」
途端、今迄何とも思っていなかった筈の地面から立ち上る噎せる程の血の匂いに息が詰まりそうになる。 新鮮な空気を求め荒く息を吐くが地面がぬかるむ程に流れ出した一面の血臭を逆に吸い込んでしまい 喉元にせり上がって来る昼に食べたモノの饐えた味に三蔵は口元を抑えよろよろと仲間から離れた。



「3ケ月ですね。おめでとうございます」
「えー、いやーなんつーか」
「なあっ、男かな女かな」
「健康に生まれてくれれば俺はどっちでも・・・、でも俺に似てると嬉しいかな」
「名前はもう決めてあるんですか?」
「まだ早いって」



てめえら後で絶対殺す。

仲間達の最近のブームとなっている遣り取りを聞きながら、嘔吐感に脱力しながらも三蔵は下僕共への復讐を忘れる事無く誓った。

書きかけの侭放置してあったファイルを発掘。 然し一体何を書きたかったんだか覚えてない、と言うかそもそも方向性決まってなかったからこそ放置してあった訳で。 と言う事でギャグにしてみました。

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