remind
人間を殺したいと、殺しても構わないのだと思う獣のような原始的な凶暴な意思は自分をも蝕む。 殺した分だけ自分も死んで行く。
「死ね」
銃口を向け引き金を引き短くそう言い捨てながら同じ台詞を自分に向かって吐く。死ぬべきはお前なのだと。
死ね。死ね。死んでしまえお前など。お前など生きていてもどうしようもない。どうして生きているんだお前のような者が。
「このガキがあああっ!」
「うぜえよ」
最後の一人が無謀にも真正面から向かって来る。銃を持つ俺を恐れる事もなく剣を両手で振りかぶって。 否、もしかしたらこいつも死ぬ事を切望していたのか。そんなに死にてぇんだったら殺してやるさ、
「今すぐにな」



木霊のような銃声が消える頃、そこに生きて立っているのは俺一人だった。
否、本当に俺は生きているのか。
死ねといいながらいつも死にたいのは俺の方だった。
死ね、死ね、お前なんか死んでしまえ。
敵に向かいそう言いながら最後には血にまみれた手で銃を持ち、その銃口を自分のこめかみに向ける。
屍の山と引き換えに、師匠の命と引き換えにしてまで生き延びる価値があるのか、この空っぽの器に。
薄笑いを浮かべながら考える。
簡単な事だ、引き金にかけた人差し指に力を込めれば良い。
そうすれば。

幾度も繰り返した逡巡の後、経文を取り戻すまではと手を下ろす。 命を奪う道具を取り落とす事はなくこの手に握り締めた侭。
経文を取り戻すまでは生きなくては。
まるで臆病者の言い訳のようだと自分を嘲笑いながら。

2009年か2010年のweb拍手お礼再録。
自分でも書いたのをすっかり忘れてた位なので掲載当時見たよーって覚えのある人はいないのではないかと。ある意味新鮮。

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