type
「郵便でーす」聞こえて来る声に昼寝から目覚め瞳を数回瞬かせる。
暖かな休日の午後、何処に出掛ける事も無くブランケットを床に敷いて一家揃って微睡んでいたのだ。 ベージュ色のブランケットの上に金糸を広げて隣で眠っている三蔵が目覚めた気配は無い。 起こさないようそっと廊下に出て郵便受けを覗く。
俺は沙悟浄。
足の長いちょーかっこいいナイスガイだが残念ながら独身じゃない。 若い頃は散々浮き名を流したもんだったが一つ年上の美人さんこと三蔵に出会って速攻で口説き落として3ケ月で電撃ゴールインを決めてからは夜遊びもぱったり止めた。 三蔵と一緒にいれば夜の街を懐かしいと思う暇も無かった。うん?どういう事かって?それは大人の事情ってヤツだ。
郵便受けに入っていたのは白い細長い封筒だった。差出人を確認して封を開く。
夜の街に出掛ける事なく毎日三蔵の待つ家に帰っていた割に子供が出来るまでに3年掛かった。 一人息子の悟空が生まれたのは5年前。
髪の色も瞳の色も面立ちも俺らのどっちにも不思議な位似ていない悟空をそれでも三蔵は溺愛していた。
今度の誕生日を迎えると早いもので悟空も小学生になる。 丁度良い機会だと悟空の血液型を調べる為に病院に行ったのは数日前。
A型の三蔵と、B型の俺と。悟空の血液型はA型かB型かそうでなければAB型の筈、だった。
かさ、と折り畳まれた白い紙を広げた指が止まる。 タイプされた文字は印字が掠れていたのだとしても元はA型かB型であったのだと都合良く誤解する事も出来ない、
O型だった。
A型の三蔵とB型の俺と、そしてO型の子供。
それは、つまり、悟空の父親は俺じゃないと言う事を意味していて。
「・・・・・・っ!!」
がばと飛び起きてみると既に日は昇っているらしく安宿の室内は仄かに明るくなっていた。 朝の早い三蔵にしては珍しく未だ俺の横で規則正しく薄い胸を上下させている。 閉じた侭の三蔵の瞼を眺めているうちに先程見た夢の中でも三蔵は眠っていた事を思い出す。
それにしても何て夢だ、と口元を歪ませるが。
「・・・・・・夢、だよな?」
三蔵を起こさないようにそうっと震える指で毛布をめくる。
ぺた。ぺたぺた・・・。
「良かった、男だ・・・」
真っ平らな胸の感触に思わず息を吐く。
ちっ、どうせ夢なら思う存分触っておけば良かった。現金なもので安堵した途端そんな事を思う。 夢で見た三蔵は少なくともFカップはあったのに惜しい事をした。 マシュマロのように柔らかな手応えだった筈なのに。こう、思いきり指を広げて掴むように揉み上げて。
「・・・てめえ何してやがる」
寝間着の胸元を押し開き両手の平で三蔵の胸を揉んでいる状態で不機嫌な声に我に返れば寝起きの超絶機嫌の悪そうな瞳が下から俺を睨み上げていた。
「・・・・・・えっと、」
正直に夢の話をしようか、それともこの場を誤魔化す為に寝ている三蔵に悪戯をしようとしていたのだと言う事にしておこうかと、 俺は暫し考える。