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正門前から続いている道は両端に桜が植えてあって、桜並木と言うと聞こえは良いが花の季節には結構毛虫が大量発生している。 怖い物無しのような顔して案外虫が苦手なさんちゃん先輩は、桜の時期なんかちっとも待ち遠しくはないだろう。 「蕾が膨らんで来たな」 日が暮れるのも随分遅くなって、夕焼けの中桜並木を見上げると枝先に幾つもの蕾が芽吹いているのが見て取れる。 つられたようについ、と顎を上げた隣を歩くさんちゃん先輩は、苦悶を滲ませたそれはそれは深い溜息を吐いた。聞いているこちらまでもが辛くなるような。 然しその溜息は新学期になったら受験生になるからではなく、毛虫を厭っての事に違いない。 だって三蔵は頭が良い。受験勉強なんてさして苦でもないだろう。 少なくとも先程の苦痛に満ちた溜息を吐く程の一大事ではない筈だ。 勉強を教わっている時にさんちゃん先輩は散々俺の事をバカだバカだと言うけれど、勿論そう言えるくらいにさんちゃん先輩は頭が良い。 俺がうんうん唸ってやっと解くような問題も、さんちゃん先輩にはゲームでもやっているくらいの感覚だろう。 DSの代わりに参考書を開いて、タッチペンの代わりに鉛筆を持っているようなものだ。 そう考えて今度は俺が溜息を吐きたくなった。 兄貴は俺の事を頭が良いと褒めてくれるけれど、さんちゃん先輩と同じ大学には進学出来ないに決まっている。 「憂鬱・・・」 「何だ藪から棒に」 「受験勉強・・・」 「気が早えな」 一瞬きょとんとして、それから三蔵は苦笑した。 ああ、三蔵はさっきみたいな表情より笑っている方がよっぽど良い。 さんちゃん先輩3年、悟浄2年の春。 お題ページ |