「夕方の階段」で登場人物が「電話する」、「ヒーロー」という単語を使ったお話を考えて下さい。






「悪い、」
急なトラブルで云々、出張先のビルの階段で携帯に向かって喋り掛ける。
せっかく今夜は三蔵の家で鍋の予定だったのに。
「そうか」なんて素っ気ない返事をする三蔵の声には「俺に会えなくて残念だ」みたいなニュアンスが微塵も感じられなくて
「美味い酒でも買って帰るから、ん、じゃあな」
内心ちえっと思いながらもそんなしおらしい台詞を口にしてみせる。
本音では「信じらんねえクリスマスなのに何でそんな平気そうな声が出るんだよ」と思っているが、 それを言ったらクリスマスをドタキャンする俺の方がどう考えても分が悪い。
そもそも、この時期に出張を命じられた時点でクリスマスは半分諦めていたのだ本当は。



階段を昇り切った先には大きな窓があり、既に日が暮れかけているのが分かった。
これから対処して最短時間で何とかなったとしても最終の飛行機には間に合いそうもない、 どっかのヒーローとかだったりしたら飛行機が無くともひとっ飛びで帰れるんだろうが。 三蔵もきっと驚くだろう、帰りは明日になると言ってたのが突然空から現れたりしたら。

溜息を吐きながら自販機で缶コーヒーを買う。
コーヒーを一口飲んだ所でいや、案外良いんじゃないのかヒーロー、と更に思考を深める。
交通費ゼロ円なのにちゃっかり会社に飛行機代請求してみたり。
最高だなヒーロー。
いや待て、ヒーローがそんな不正請求をしたら不味いだろ、そもそもヒーローにしちゃあやる事が随分とセコい。
やっぱりダメだ、俺はヒーローには向いてねえな。






「もし俺がヒーローだったら」
と言う有名な曲がありますが悟浄さんが勝手に続けて
「飛んで帰れば交通費ゼロ円」
とか言い出したので驚いたのなんの。



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