クレヨン
白い膚に唇を落とすと面白い位綺麗に朱が残った。「ん・・・」
胸元に舌を這わす俺の頭を抱え込んでいる両腕にも散る赤い痣。 滑らかな膚に口付けて強く吸い上げる。幾度も。幾つもの赤い花のような印。
ぴちゃり。
音を立てて胸元に執拗に舌を這わせる。
「ああ・・・っ」
ひくりと唇の下で三蔵の体が揺らめく。 普段滅多に聞けない三蔵の喘ぎ声に思いの外煽られる。
「お誕生日おめでとうございます」
ガキじゃあるまいし今更誕生日なんて祝って貰っても嬉しくも何とも無いし、大体野郎4人でお誕生パーティっつーのも真剣に寒い。 そう思ったが目の前に並べられた大量の料理はどれも美味いしご馳走にありつけて悟空も喜んでいるし、まっ、いーか。 なんて思ってたのが数時間前の事。
食事を終え宿に戻り、ここぞとばかりに用意された大量の酒を飲んで、悟空が潰れたのを期にお開きにし、酔った勢いでおねだりしてみた。
「誕生日だし、オネガイきいて?」
三蔵をベッドに組み敷きながら言った。酔った振りで。
「声、出して」
三蔵は行為の最中殆ど声を出さない。最初の頃は感じてないのか、 それとも感じさせられないのかと思った位だが強く腕を絡め自分から口付けてくる所を見るとそういう訳でもないのだろう。 無理に声を殺している訳でも無し。比較的淡泊なのだろうと言うのが肌を重ねるうちに辿り着いた結論だ。
僧侶であるとは言っても人並みに欲はあるだろうと思っていたが、 意思の力で肉欲を抑え込んでいる訳でも無くて、元来三蔵はそういった事に対する欲があまり無いのだと分かった。 何度も馴らし快楽を覚え込めばそのうち変わるのかとも思ったが幾度体を繋げても三蔵は相変わらず声を出さなかった。 愛撫に体は辛うじて反応するものの苦しげに息を吐くだけで声らしい声は滅多に出さない。 気分が乗らない時など、性器だけは指で無理矢理追い立てる事は出来てもそれ以上体が開かない。 何とか誤魔化して突き入れても辛そうにしているだけでとてもじゃないがセックスをしていると言うよりは勝手に欲情して体を使わせて貰っているとしか言いようのない状態で。
それでも三蔵が愛想を尽かしてこんな事は止めると言い出さないでいてくれるので関係を続けていられるのだと言って良い。 拒まれない程度には三蔵も俺を気にしてくれているのも分かっているし、不感症気味な自分を申し訳なく思っているのも知っている。
AV女優のように大袈裟な反応なんて見せなくても三蔵と膚を合わせているだけで俺は十分に嬉しいのだと、 伝えているつもりだが果たしてどれだけ三蔵が分かってくれているか・・・あまり自信は無い。
セックスに関して自信の無い三蔵に追い打ちをかけるような真似はしたくなかったが俺だって時々不安になる。 本当は俺と寝るのは全然気持ち良くないのかも・・・なんて。
「や・・・っああっ」
仕方無いと思ったのかサービスのつもりなのか。今日の三蔵は戸惑いながらも愛撫に一々声を立ててくれる。 浅い呼吸を繰り返しながら掠れる声で吐息と共に吐き出される甘い声。一音一音が耳にぞくりとした感覚を残す。 言霊を紡ぐ三蔵の、それは不思議な力の成せる業なのか。酒の力だけでは無い酔いしれた感覚に夢中になって目の前の白い躰に溺れる。 腕に、脚の付け根に、執拗にしゃぶり付き吸い上げ赤い痕を幾つも残す。 赤い花弁だらけになった三蔵の体を見て思う。これは落書きをしたがるガキみたいなもんだと。 クレヨン代わりに唇で三蔵の体に好きなだけ色を落として行く。持つ色は赤一色。
「やっ、ああっ、イヤ・・・っ」
ゆっくりとその身に自身を沈めれば否定の声が上がった。
「イヤなの?」
「んっ・・・イヤ・・・っ、アア・・・ッ!」
シーツの上で頭を激しく振り乱す三蔵の両腕は言葉とは裏腹に俺の両肩に伸ばされて来る。
不慣れながらも声を上げてみたもののこういう時何と言って良いか分からず戸惑っているらしい。 それでも自分の為によがってみせようとする三蔵に愛しさがこみ上げて来る。
「そういう時はイヤじゃなく、俺の名前呼んで?」
「ふ・・・っ」
キスで唇を塞いでゆるりと突き上げを開始する。
「ん・・・ふ・・・ごじょ・・・」
舌を絡めた吐息の合間に。
「そう」
「悟浄・・・っ」
ずるりと三蔵の奥深くまで抉るそれに耐えかねたように。
「悟浄・・・悟浄っ」
何度も繰り返し呼んで?
それはまるで毒のように体に染み入る言葉。