in the Dark2
甘いものなんて大して好きでもないクセに、 世間一般ではそうする事になっていると言う習わしに沿って頼みもしないケーキを買って来る悟浄の事を、 アホなんじゃないかと昨年のこの日三蔵は思ったものだった。
そして一年が経ち、凝りもせず同じ事を繰り返す悟浄に再び三蔵は「コイツはアホだ」との感を抱いた。


グラスに注いだ赤ワインを舐めながらのろのろとケーキを口元に運んでいた悟浄がフォークを皿に置くのを見て「ほらな」 と内心で思った三蔵は、それが喰い合わせの悪さによるものか甘いものが口に合わないが故かは気にしない。 ケーキを食しながら飲むものがティーポットで淹れた香り高い紅茶であろうと特売品のインスタントコーヒーであろうと限定醸造の日本酒であろうと一升千円かそこらの芋焼酎であろうと気にする事のない三蔵は、 自分の味覚が特異なものである事に敢えて気付かない振りをしている。 そして今年もスポンジケーキがぱさぱさになった頃こっそり喰いさしのケーキを生ゴミの中に突っ込むつもりであろう悟浄に 「どうせ喰わないんだったら豆かんでも買ってくれば良いものを」と思う。 良質の豆と砂糖を使用した手作りの豆かんと言うものはそこらの大量生産品のケーキ以上に値段が張る事を三蔵は知っている。 寺の裏庭で育てた或いは檀家の者が持って来る野菜を、 出汁を取ってことことと煮込むと言う調理法が料理の原点である三蔵は、微妙な味の善し悪しが分からない訳ではないのだ。 只、当人の好む味が少しだけ他の者達と違っているだけで。
喰いさしのケーキなどに手を付ける気にはならないが豆かん、或いは蜜豆だったら悟浄が喰い残しても食べてやっても良いものを、 そう思いながら密かに三蔵が溜息を吐くとその溜息に反応したように悟浄が僅かに肩を震わせ。
自分に向かい伸ばされて来る悟浄の腕を眺める間もなく三蔵はソファに横たえられる。



後肢に指を埋めながら性器を弄ぶ悟浄に翻弄されながら三蔵は喉が乾いたな、と思う。 裸身を晒しても寒さを感じない程暖房で温められた室内の、乾燥した空気の中で荒い呼吸を繰り返すのは仲々喉に負担がかかる。
「何を考えてんの?」
「・・・別に」
唐突に問われ薄く唇を開き三蔵は答える。
「・・・ふうん」
その返答に何を思ったのか、 力の入らない三蔵の痩身を悟浄は易々と抱え上げソファに乗り上げ体勢を入れ替わらせて正面から自分の脚を跨ぐ形に座り直させる。
「自分で挿れてみて?」
猛るソレを入口に宛い強請る悟浄に三蔵は力なく頚を振る事で行為を拒否する。
「何で出来ねえの?」
ホラ、と言いながら指で馴らされ多少緩んだ場所に向かい悟浄が腰を突き上げて来ると三蔵は怠い身体を無理矢理逃れさせようとする、 が先端を埋め込んだ悟浄が逆に三蔵の腰を両手で掴み乱暴に引き下ろす。
「・・・・・・っ」
喉の奥に張り付くように掠れた呼気。
少し、喉が痛い。
「アンタん中、熱くって、絡み付いて来て、気持ちイイ」
荒く息を吐いて悟浄が腰を揺さぶり上げるのに、再び三蔵は吐息だけを零す。
頼んだ訳でもないケーキを買って来る事、何を考えているのか問いながらも実際には目の前の快楽の事しか考えていない事、 人の機嫌を伺う振りをしながらも悟浄と言うヤツはいつも自分の事を考えている、 と思いながら三蔵は潤いを求めるように悟浄に唇を寄せる。
音を立てながら幾度か触れては離れる悟浄の唇は乾いていた。
喉が乾く。




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タイトルが決まらなくて焦りながらレープロことレーシングプログラムを捲って決めたタイトル。 そう、菊花賞馬の名前です。

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