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競馬パラレル@忘年会
「三蔵?今駅に着いた所」 「分かった。迎えに行くから待ってろ」 短い通話が切れた後の携帯を握り締めふと息を吐いた。忘年会の名目で「牡蠣持ってくから牡蠣鍋にしよう」 そう頼み込んで漸く三蔵の家に行く事を承諾して貰えた。長かった。 何だか知らないが三蔵は家に行きたいと言うとムキになって断ったから数年来の付き合いになるのに家に上げてもらうのは初めてなのだ。 初めて友達の家にお泊まりに行く小学生のようにどきどきしている自分に小さく苦笑する。 お泊まりどころか飯喰いに行くだけなのにと思いながら煙草を取り出した時自分を呼ぶ声が聞こえた。 「ごじょー!」 「早かったな・・・って何でお前が!?」 顔を上げ声の出所を探し頸を巡らせば、視界に入ったのは三蔵ではなく自転車に乗った悟空だった。 自転車かそりゃあ早い訳だ・・・って違うそうではなくて。 「何でって、三蔵鍋の支度してるから手え離せなくてさ」 そう言って手を差し出して来るのにアメ横で買い込んで来た牡蠣を渡すと悟空はその袋をチャリの前カゴに入れた。 「いやそーゆーことじゃなく」 「ホラ後ろ乗って。立ち乗りな」 「あのさ、今日オマエも一緒なの・・・?」 自慢の長い足で自転車の荷台を跨ぎながら俺が「お前がここに」と言っている意味を分かっていないらしい悟空に尋ねる。 「?そうだけど。今日は牡蠣鍋だって?悟浄、サンキュな!」 笑いながら悟空は自転車を力強く漕ぎだした。 俺が牡蠣を持って来ると言う事は悟空には伝わっていたらしいが俺はお前も一緒だなんて聞いてねえっつうの。 小さい体ながら自分より大きい俺を乗せている割に、スポーツタイプではなくごくフツーのチャリの割に悟空の漕ぐ自転車はスピードに乗っている。 つうか俺が掴まるには悟空の肩は低い位置にあり過ぎてバランス悪いって。 「スピード落とせって!!」 「えー?ナニ良く聞こえねえよ」 「うあ、落ちるっつうの!!」 カーヴを曲がる度にバランスを失いよろける自転車から、 何とか転がり落ちる事なく三蔵の家に着いた時にはただ後ろに乗っていただけなのに息が切れていた。 「とうちゃーく」 悟空の声と共に自転車が勢い良く止まるのに停止の勢いの侭悟空の頭に腹をぶつけ呻きながらもよろよろと自転車を降りた。 然しダメージから素早く立ち直りうきうきと古めかしい呼び鈴を鳴らす。 平屋の一軒家だが相当古そうだ。日に焼け自然の歳月に汚れた外壁は建築会社のセールスマンが必ず立ち寄り声を掛けるに違いない。 成程これなら立地の割に安く借りられるだろう。 ここが三蔵の家かあ。 「開いてるぞ」 中から聞こえて来た声に玄関の引き戸を手をかけようとすると、 俺より先に後ろから悟空の手が伸びてがらりと戸を開けた。 「たっだいまー!」 「早かったな。まあ上がれ」 感動を横取りされたようで一瞬むっとした後顔を上げれば一段高い所から声をかけて来たのは・・・朱泱だった。 「今日は牡蠣奢りなんだって?万馬券でも当てたか?」 「え、いやまあちょっと・・・」 ソコにいるのが当たり前とばかりににこにこと笑って尋ねられるのに、力なく俺は項垂れた。 「long ago」の続き。 朱泱さんは月桂冠一升瓶を、悟空は美味しい豆腐(鍋の材料)を手土産に。 「さんぞーの料理は美味いなあ」(悟空)注*競馬パラレルの三蔵様の料理は大味です 「鍋なんざ誰が作ったって同じだろうが」 朱泱さんは自分で持って来た酒を自分で5合くらい呑んじゃいます。 novel−競馬パラレル |