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母親の名前が書かれていて、場所と時間も指定された手紙が届いたなら普通はその指定場所に出向くのに戸惑いを感じはしないだろう。 その母親が、嘗て自分を置いて逃げ出した人物でなければ。 三蔵と暮らし始めて約一年。郵便物の転送期間もギリギリ切れるかと言う折にそれが届いた事には何か意味があるのだろうか。 『あの時はどうこうしなければいけない理由があった』なんて言い訳をする事もなく恐る恐る俺を抱き締めた、 その人が俺の母親だと言う事を俺は彼女からの手紙を見ただけでは信じてなんかいなかった。 指定された場所のはパンダ前でも西郷前でもなく、公園の奥まった場所にある美術館前。 俺のものより沈んだような色の赤い髪。 こんな、真夜中でも見紛う事のない色素の薄いようにも見える赤い瞳。 頭のオカシイ女の勘違いでも何でもないと証明するかのような同じ色。 「会いたかっただけなの」 その言葉通り連絡先のメモ一つ寄越す訳でもなく少しだけ一緒に並んで歩いた後、動物園前で別れた。 母親が夜と言っても未だ人通りの多い公園の方角へ消えて行くのを見送った後、俺はひたすら走った。 走った。 走った。 走った。 息を切らしてドアを開ければ、きっとそこには不機嫌そうな表情を浮かべて俺の家族が待っている。 「早朝のベッド」「浮気する」「マフラー」の二人。 お題ページ |