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帰宅部の三蔵と俺と、二人並んでいつもの帰り道を歩く。 本当は俺は家が近いと言う理由で進学先を決めたので家から学校までは徒歩数分の通学時間で駅まで歩く必要はこれっぽっちもないんだけど、 三蔵と一緒の時間を少しでも長引かせたくて駅までの道を一緒に歩く。 改札で三蔵と分かれて改札内に入る事なく引き返して行く俺を三蔵はどう思っているんだか。 途中で買い食いしたりコンビニで買い食いしたりいや買い食いするだけじゃなくて、 とにかく寄り道する僅かな時間だって嬉しいと思っている俺の気持ちなど知らず今日は駅への近道の神社前の道を三蔵は選択した。 「ここの神社は豆まきとかするのか?」 朱塗りの鳥居の前でちょこんと頸を傾げて三蔵が尋ねる。 「え?」 「今日は節分だろ」 「ここは豆まきはやんねーんじゃねえかな・・・って言うかさんちゃん先輩!!」 「なんだ!」 俺の大声に驚いたのか三蔵が肩を跳ね上がらせる。つうか思いがけない自分の大声に驚いたのは俺も同じなんだけど。 「さんちゃん先輩の地元のでけえ寺って毎年新聞とかTVの取材来てんだろ!!」 あんだけ毎年夕方の地方ニュース見てると必ず映る寺が地元にあるくせに、何でこんな小さい神社の事なんか気にするんだか。 「あ?ああ・・・よく知ってんな」 よく知ってんな、だって。 こんな、豆まきもしない田舎の小さな神社と違ってアンタの地元の寺は毎年TVの地方ニュースで放映されてるし新聞の地方欄にも掲載されてるのに。 「豆まき、俺も行ってみたい!」 「ああ?」 「だって、着ぐるみの鬼とか出るんだろ?」 「着ぐるみじゃねえよ!赤とか青とかの全身タイツに虎パンでアフロのカツラの鬼だ!」 着ぐるみより凄えよそりゃ、と思いながら更に押してみる。 「へええ〜尚更行ってみてえ!な、案内してくれよ!!」 面倒くせえ、と顔に書いてあるような表情を浮かべ三蔵が押し黙る。 「明日の昼飯おごるから!この通り!!」 明らかに全く乗り気でない三蔵にぱんっと、顔の前で両手を合わせて拝み込む。 ちっ、と舌打ちが聞こえてから顔を上げると三蔵はすたすたと先を急いでいた。 「本当だろうな」 「え」 「明日の昼飯」 「あ、ああ、マジだって!!」 よもや昼飯程度で三蔵が釣れるとは思わなかった。心底驚いて声が裏返る。 「もう夕方の部は間に合わないから、8時に駅前だ」 それが待ち合わせの事らしい、と気付くまで数秒。 「8時・・・?」 「夜の豆まきは8時半からだからな、遅れんなよ」 「あ、うん!あったかい格好して来いよ!」 三蔵の地元で会うのは初めてだ。 「なんだよニヤニヤして・・・そんなに豆まきが楽しみなのか」 知らないうちに喜びが顔に出ていたらしく、三蔵が顔を顰める。 「あ〜そうだね、すっげえ楽しみ!」 今度は意識してに、と三蔵に笑いかけてみた。 夜が待ち遠しい。 「夜の路地裏」「手を繋ぐ」「豆」の数時間前の話。 お題ページ |