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競馬パラレルSS その5 * * * その41 * * * 「タニノギムレットのダービー2着ってどの馬だったっけ?」 何故だろう。先刻から丸っきり思い出せない。 「確かマチカネアカツキが3着で」 何で3着を即答するのか。俺が聞いてるのは2着なのに。 「・・・ピンクと黄緑の勝負服だったっけ?」 ああ、クソ。マチカネの名前を聞いてしまったらあの赤青のストライプ柄の勝負服が頭から離れない。 「・・・そう・・・だったか?」 「あー、えーとほら、ギムはNHKマイル負けてその失敗を生かしてダービーに繋いだんだよ! で、NHKマイルは・・・ほらあのビックリマーク逆さにしたみたいな流星の」 「テレグノシスだ」 眉間の皺に指を当てて記憶をひっくり返しながら三蔵が答える。 「そうそう、そのマイルでギムは2着・・・いや3着で」 「2着はアグネスソニックだろう」 だから何でそんな事だけスラスラ言えるの。 「えーと、ソニックはダービー出てないんだよな。テレはダービー出たけど散々で」 「菊(注:菊花賞)は」 「ノーリーズンが落馬」 「そんな事もあったな・・・」 「えーと、勝ったのはヒシミラクルで、あー、何だっけホラ、人気あった黒い馬がズブズブで」 やっと近付いて来たカンジがする。もう少しだ。 「いやそれはヤマノブリザードだろう。確か、その馬(ダービー2着馬)は菊回避して。 距離不安だからって秋天出て」 「あー!シンボリクリスエスだ!」 ああ、スッキリした。 こーゆー風に馬の名前が思い出せなくて気持ち悪い時があるんです。 ピンクと黄緑の勝負服はダンツフレームでギムのダービーの前の年の皐月賞2着。 こんな風に記憶細切れなクセに妙な所で良く覚えてるし。 * * * その42 * * * 「ダービー日和だねえ」 「ダービー日和ってのはどんなだ」 「雨よりはマシっしょ」 「ダービー日和ってのは30度越える事を言うのか」 「ダービーの日は晴天か雨っつう事が多いよな。ホラ、ハーツクライのオッズ上がってる」 「だろうな」 「つうかあんた何で長袖よ。晴れるって分かってんだから薄着にすりゃあ良かっただろ」 「どんな格好しようが俺の勝手だ」 「へいへい・・・・・・ああ、もおダメだっ!良いか?」 「好きにしろ」 「うん。ちょっとコレ持ってて」 ごそごそ。 「見せてやるぜ俺様の肉体美を。なんつって」 脱いだばかりのシャツを片手に持った侭上半身裸で悟浄はポーズを決める。 「・・・アホな事抜かしてないでとっとと着ちまえ」 今日も長袖着用の三蔵様。 悟浄さん暑さの余り衣替え。因みに競馬場で売ってるダービー全出走馬名Tシャツをその場で購入。 ダービーデーは毎年雨(雨上がりとか朝から雨が降りそうとかも含む)か、 雨の心配の無い時は滅茶苦茶暑いんですよ!! * * * その43 * * * 新聞を広げて隣同士に立つ、いつもの競馬場。 「・・・スキだ」 聞こえるか聞こえないか位の声で呟いた。 すると三蔵は小首を傾げて馬柱を眺め始めた。 「・・・。ああ、母の父マルゼンスキーだな」 (・・・鈍い、鈍過ぎる!!泣)←悟浄さん心の嘆き ホリスキーでも可。 でもね、今時母の父マルゼンスキーな馬っていないと思うの・・・。 * * * その44 * * * 「俺が競馬始めた頃は海外遠征する馬なんてそんなにいなかったのに最近は成績良い馬はどんどん海外目指すなあ」 新聞で有力馬の動向を読みながら悟浄が感慨深く口にする。 「俺なんかタイキシャトルがフランスのGI勝ったのにすげー感動したもん」 まだあれからそんなに経ってないのに、と煙を吐き出す。 「三蔵が競馬始めた時は?」 「似たようなもんだ」 「俺ん時もだ」 同意するのは三蔵の競馬の先輩だと言う年齢不詳・朱泱。 「・・・朱泱さんが競馬始めた頃ってどんな馬が活躍してた?」 「何だと思う?」 聞かれるのには答えず面白そうに朱泱は口の端を上げた。 「ミスターシービー?」 「そんなに若かねえよ。TTGじゃねえのか」←三蔵 「まだ生まれてねえって」←朱泱 「幾つサバ読めば気が済むんだてめえ」←三蔵 TTGと言うのは3頭の馬の頭文字繋げた略称。 * * * その45 * * * 「ここで撮ってv」 「ああ」 日も暮れ始めた競馬場内で、三蔵は言われる侭パドックから少し離れた場所にあるハイセイコー像と並ぶ悟浄に携帯のカメラを向ける。 ハイセイコー像と言うのは日本に3体ある。一体は中山競馬場パドック横、一体はハイセイコーの生産地である北海道は静内の道の駅、 そしてもう一体は、ハイセイコーが現役時代に所属していた此処、大井競馬場だ。 「じゃあ今度三蔵撮るから」 「・・・・・・」 そう言って悟浄がカメラを向けると三蔵は新聞の影に顔を隠した。 「こないだ携帯洗濯しちゃってさー。中のメモリ全部パーになっちゃった」 「・・・・・・」 「新機種になってカメラの画素数増えたのは良いんだけど」 「だからってこっち向けんな」 「いいじゃん」 「俺は高いぞ」 「えーっと、どんくらい?」 「さあな」 「じゃあ100万馬券獲ったら写真撮らせてな」 「獲れたらな」 背景画像は大井のハイセイコー像です。大井出張版。 「100万払うから写真撮らせて」ではないのです馬券獲れたら撮影権発生と言ってるだけで。 * * * その46 * * * 「100万円ってことは貨幣単位がドルだったら『100万ドルの男』かあ」 「気色悪い呼び方すんな」 「そういやなんとかダラーって名前の馬いなかったっけ?」 「さあな」 「んー、んー・・・・・・・・「ドルバコ」?」 「100万は何処行ったんだよ」 「あー・・・・・・ええと、「テンリットル」?」 「桁が合ってねえしドルじゃなくなってるじゃねえか」 まだ続く大井編。テンリットルは高崎競馬場所属。 * * * その47 * * * 「ドンって初大井だっけ?」 赤ペンで頭をかしかしと掻きながら悟浄が訊ねる。 メインレースのGIは交流重賞、つまりJRAこと中央競馬所属の馬にも出走権のあるレースだ。 「何言ってる。去年JBCクラシック勝ってるじゃねえか」 「あー、そうだっけ?JCDも出てたじゃん。ローテきついから大井はパスしたかと思い込んでた」 「忘れねえだろ普通。お前ア○マイ○ドン嫌いだろ」 「う・・・っ、いや、別にそんな事は。嫌いな訳じゃないと、思う多分」 何故大井かと言うと@帝王賞でした! 大井の重賞は平日開催になる事が多いので(しかも火曜とか・・・) 仕事終わらないと行けないし行ってもあっと言う間に終電になってしまうので結構辛いです。 * * * その48 * * * 「よーっす」 長身を前のめり気味に倒し、片手を上げて挨拶する悟浄の目の下にはくっきりとクマが浮かんでいる。 「・・・疲れてんな」 「ちょっとね・・・自分で自分がもうダメだって思う瞬間てあるでしょ? 今週もーダメダメなんだよね。グリーン歯科がダーリン歯科に見えちゃって」 「何がダーリンだ糸井重里じゃあるまいし」 「ツッコミ早いよ三蔵。大体ダーリンって言ったらトーワダーリンくらい言ってくれなくちゃ」 「・・・・・・あ?」 「やだなあ知らねえの?府中の誘導馬トーワタケシバの妹じゃん」 「・・・それだけマニアな事言える位だったらまだ全然大丈夫だろうよ」 ダーリンワンとか話を広げようと思ったのですがあまりにマイナー過ぎて止めてみた。 * * * その49 * * * 携帯の着信音に気付いたのは、既に何度目かのコールの後だった。 「三蔵?今何処?」 「パドックだ。お前は」 そう、携帯の呼び出し音に気付かなかったのは、目の前の馬と手元の新聞を交互に見る事に集中していた所為でもある。 「さっき会社出た処だからあと1時間位で着く」 「分かった」 「何処で待ち合わせする?ラッキー社(予想屋)の横?」 「断る」(←即答) 「じゃあハイセイコーの横。良いでしょ?着いたらまた電話するな」 「ああ」 大井待ち合わせ編。地方競馬は予想屋がブース構えてます(中央競馬では予想屋は禁止されてます)。 ラッキー社の横で待ち合わせ、っつうのは行く度「今度はラッキー社で待ち合わせしようか(笑)」 と言いつつ未だ実現した事が無いのですが。賑わってる予想屋は良い場所貰ってますが勿論人がたかってなくて閑古鳥の鳴いてる予想屋もおります。 大井にはいませんが高崎には女性の予想屋も数軒ありました。 * * * その50 * * * 「意外とすぐ着いたな」 「でしょ?定時で上がって来ちゃった」 「大丈夫なのか?」 「デートだって言ったら多目に見て貰えた」 「ほー」 「うわ、何で新聞折り畳み始めてんのかなー?(汗)それ位言わないと帰れないんだって! 上司には用事があるって言ったけどすげーコワイ目で見られたもん」 「・・・そうか」←新聞を折る手を止めながら 「取り敢えずビール飲もっか。あ、バドワイザー。バドガールいるかな」 「こんな処にいる訳ねえだろ」 大井では昔女性客がバドガールの格好したらビール一杯無料っつう事もやってましたが連れにそんな格好させて 「グループ全員一杯無料」でなくあくまで「一杯無料」つうのはどうよ、と思いました。 因みに客が着る用のバドガール服は凹凸が無くてドラム缶のように真っ平らでした。 競馬SS4 ハイセイコーの横に悟浄さん描き足そうかと思いましたが止めました(笑) 競馬SS6 novel−競馬パラレル |