midsummerday2
メシを喰った後店を出た処で「俺ん家来る?」と問えば返答は無かったが三蔵は黙って後を附いて来た。
俺がそう言う事は予想していただろうに三蔵は「週末会える?」との俺の誘いを断る事は無かった。 どれだけ早い時間から来ているのか、時間丁度に待ち合わせ場所に着くと三蔵は必ず先に来て俺を待っている。 待ち人が来るのをきょろきょろと頚を巡らしながら探すような事はせず、 少し俯いて煙草を銜えている三蔵に声を掛ければ気が付いたようにゆっくりと顔を上げてこちらを見る。
そして、それは今日も同じ事だった。
俺の姿を見付けても特に嬉しそうな顔はしないがそうやって三蔵はいつも俺を待っていてくれる。





先週は半ば意識の無さそうな顔色の悪い侭運び込まれた寝室に、今日は三蔵は正気の侭自分の意思で足を踏み入れた。
するりとシャツを剥ぎ取りこの一週間何度もこの手に抱く事を夢に見たその細い身体が眼前に現れて来る事を楽しむ。 しっとりと汗の浮いた身体はそれでも馴染む程に手触りが良く自分のものとは感触の違うそれに飽きる事無く指を這わせる。 くっきりと浮いた鎖骨の手応えは痩せた猫を愛撫しているかのようだ。 まだるっこしい愛撫にも三蔵は先を強請る事無く小さく喉を鳴らして俺のものと混じり合った唾液を呑み込む。 こくりと、僅かに上下する喉に耐えきれなくなったのは俺の方が先だった。 擦り上げていた性器の先端に指先をねじ込むと荒く息を吐く事で三蔵はイキそうになるのを交わす。 シーツの上に立てるように両脚を開かせて身を屈め唇の間から舌を差し出す。
「悟浄・・・っ!」
その感触に三蔵が慌てて身を起こすが構わず舐め上げる。
「ッ!う、ああっ!」
シーツを握り締めていた三蔵の指が俺の髪に絡められ強く引かれる。 過去に付き合ったどのオンナにだってした事の無かった行為に嫌悪感は沸かなかった。 反射的に閉じようとする両脚を割り開かせ指で支えてソフトクリームでも舐めるかのように先端の窪みにしつこい位に舌を割り入れるとびくりと痙攣した後三蔵は陥落した。 流れ落ちる白濁を指で掬い上げ後ろの蕾に触れるように差し入れる。
「あ、あっ!」
未だ弛緩しきった躯に与えられる刺激に三蔵が一際高い声を零す。 ゆっくりと指を中で折り曲げるようにして入口を広げてやるとくちゃりと濡れた淫らな音がする。
「い・・・やああ」
荒く胸を上下させては呼吸を繰り返す三蔵のその後口を、慌てず時間を掛けて指を増やしては中で蠢かしながら馴らしてやる。 俺の脚の間のモノに強請るように指を伸ばされる事もなかったのに既に俺のそれは勃ち上がっていた。 充分に柔らかくしてやった三蔵の後口にそれとは反対に固くなった俺自身を宛う。 馴らしたつもりだったが指とは全然違う質量のそれは容易く三蔵の中に呑み込まれては行かない。
「三蔵、目、開けて」
一度動きを止めて、固く目を閉じて声も立てず荒く息を吐く三蔵の頬に触れて告げる。
あんたを抱いてるのは俺だから。しっかり俺を見ろと。
「あ・・・・・・」
濡れたアメジストのような潤んだ瞳が俺の姿を映し出し、呼吸がゆっくりとしたものになると強張っていた三蔵の躯から力が抜けた。
「ん・・・」
その侭の体勢で唇を触れ合わそうと深く身を折るとずる、と俺のモノが三蔵の中、奥深くに入って行った。 舌を絡め合わせて緩く掻き混ぜるように腰を動かす。 俺の腹に当たる三蔵のモノも再び溢れ出し始めた三蔵の精液で濡れている。 深いトコロでびくびくと痙攣する三蔵の肉壁に俺のモノはじわりと体積を増す。 大きく開かせた三蔵の両脚を抱え上げ、いよいよ、と言う時物音が聞こえた。



「今度さー、アイリッシュパブ行こうぜ、黒ビール飲めるぞ」
「えー、何処にあんの?」
がんがんと鉄製の階段を上る複数の足音が響き渡る。隣の部屋の住人が帰って来たらしい。酔ってでもいるのか声がでかい。
「・・・・・・」
その声に三蔵が躯を強張らせゆっくりと目を開く。
「大丈夫だって、ウチ角部屋だからあいつらウチの前通らない・・・」
そう言って身体を動かすと角度が変わった事による刺激で三蔵の脚がびくりと震えた。
「ん・・・っ」
「あーっ、蛍!」
「えっどこどこ!」
突如聞こえてきたでかい声に「いる訳ねえだろ!」と即内心でツッコミを入れる。 この辺りに川は無い。蛍が居る訳がなかった。
だが三蔵は再び目を見開いて動き掛けた姿勢の侭固まった。
「こっちー!」
「えー?何処だよー?」
ばたばたと時間も気にせず少しも遠慮する事のない煩え足音が家の前に近付いて来る。
俺の背に回し掛けていた三蔵の腕がぎこちなくシーツの上に降ろされる。
「さんぞ・・・」
「・・・・・・」
浅い呼吸を繰り返し外の気配を気にしているらしい三蔵に合わせるように俺も無言になる。
「いねえって。見間違いじゃないのか?」
「えーでもお」
そう遠くない所から聞こえて来る会話に俺も動いて良いものかとマヌケな姿勢で動きを止めた侭だ。 お互いが黙り込んで耳を澄ましている所為だろう、ヤケに通路から聞こえて来る声がでかく感じる。 いや、多分奴らは酔っているから声が大きくなっている、そう思いたい。
「あ・・・っ」
何時の間にか萎えていた三蔵自身に指を伸ばすと堪えきれないように甘い声が上がった。 きっと俺達が意識している程には室内の声は漏れてはいないと思うのだが。 そっと、そっとだったら動いても良いだろうか、そう思った時。
「やぁーん」
高い声と共にクスクスと笑い声が聞こえて来た。
何時まで居る気だよ人ん家の前に(怒)!!大体いちゃつくンだったら家ん中でやれっての!
「な、三蔵・・・動いて良い?」
「やめろ」
息を整えながら三蔵が言ったのは予想もしていなかった台詞。ああ、もう泣きてえ。
「そっとスルから」
「ひ・・・っ」
そう言って軽く腰を揺さぶるようにするとキツく三蔵の中が締まった。
「あ・・・っ、やめっ」
本当に微細な動きしか加えていないのに過敏に反応するのに、 未だ通路に居る筈の隣の住人(+カノジョ)の存在を脳裏から閉め出し胸元を舌で嬲るともどかしそうに唇を開き艶っぽい声を零す。
「すっげ気持ちイイ・・・」
耳元で告げてやりながら薄い耳朶を唇で挟むようにして甘噛む。 絡み付いてくる三蔵の肉襞に夢中になりながらも再び通路を喧しく歩く足音を抜かりなく耳にしていると漸く隣の家のドアが閉まる音がした。
ほっとして息を吐きながら情けない顔をして笑ってみせた。 重たいドアの音に三蔵の意識がまた醒めかかる。
「だいじょぶだって。ね」
あやすように唇を尖らせて小さく口付ける。 が、その時再度ドアが開く音がした。忘れ物でもしたのか、それとも今日はここで別れるのか、何やら声が聞こえて来る。

大概にしろよてめえらっ!帰るなら帰るでとっとと帰れッ!

何やら怒りと情けない気持ちが沸いて来たがだからと言って怒鳴り付ける訳にもいかない。
「ヤメロ」
再度そう言うと三蔵は俺に向かって手を伸ばし・・・俺の肩を押し返そうとしてきた。
「えっ」
「ヤメロっつってんだろ」
あまりの事に動けないでいると不機嫌そうに三蔵は自らもぞもぞと身を捩ってはシーツに腕を着いて突っ張って上体を起こそうとした。
「ちょ、ちょっと待って」
「うるせえな離れろ、・・・ッ!」
自ら動いた事で触れる角度が変わり先程迄とは違う場所に俺のモノが当たった訳だが偶々触れた場所が良かったと言うか悪かったと言うか、 三蔵は大袈裟にびくんと肩を震わせて俺を締め付けた。
「あ・・・っ、ヤばッ」
不意の事に、しまったと思ったが間に合わず呆気なく俺は三蔵の中でイってしまった。 他人の気配に緊張していた三蔵につられるように気配に敏感になりながらもどうにか堪えていた白濁がびくびくと痙攣しながら勢い良く溢れ出す。
「な・・・っ」
「い、今のはワザとじゃ・・・」
呆然とした顔の三蔵に言い訳するように告げながら身体を起こして中から抜き取る。 ずるりと抜け出る感触に三蔵が顔を顰めるが、一瞬後には小さく肩を震わせて笑い出した。
「・・・イヤその確かにちょっと早かったケド・・・」
くつくつと笑い続ける三蔵が決して怒ってはいないのを見てその顔に両手を触れて上を向かせる。
「今度はちゃんとするからもっかいイイ?」
啄むようにキスをしながら強請る。唇に、瞼に、鼻先に、触れてはすぐ離れるだけのキスを繰り返す。
「しょーがねえな・・・」
自分から舌を絡めて来た三蔵がそう告げる頃には何時の間にか隣の家からの声は聞こえなくなっていて。
俺の頭を抱き寄せ髪に指を差し入れる仕草は愛撫にも似た優しさだった。
戻る続く

三蔵様って待ち合わせ時間より前に来てそうなイメージが。

novel−パラレル