ever with you2
先に立って歩く悟浄の後を附いて脚を踏み入れたのはこの間とは違う店だった。
扉を閉めるなり室内を見渡す暇も与えられずその扉に背中を押し付けられるように性急に口付けられた。
「ん・・・」
唇を薄く開けばそこから舌が入り込んで来る。頭と肩だけを扉に凭れるように押しやられ、 抱かれた腰は悟浄の体にぴたりとくっつくようにきつく抱きすくめられ離れる事のない唇に自然に頚が反り返って顔が上向く。 こっそり目を開ければ視界に入るのは悟浄の赤い髪と瞳を閉じた悟浄の顔だけだった。
口内で動き回る悟浄の舌を、 よくもまあこんなに器用に動かせるものだと感心しながらも濡れた舌が自分のそれに触れるのが気持ち悪くて逃げようとするのに執拗に悟浄が舌を絡めて来る。 何度目かに頚の角度を変えて唇が僅かに離れた隙に頚を捩って顔を背ける。
「待て」
荒く息を吐きながら告げるが直ぐ様唇を塞がれる。
「ま・・・、バ」
一層強い力で腰を抱き寄せられて衣服の上から下半身が擦り合わせられ幾重にも重なった布地越しでも伝わって来る体温が一際熱を持って感じられる。
「っ、はな」
どんどんと拳で悟浄の肩を叩く事数度。
漸く唇が解放された。次いで、腰を抱く腕が緩められる。 悟浄から身を離しぬるついた舌で口内を蹂躙されていただけなのに力が入らなくなっている下半身を叱咤し扉に凭れて何とか一人で立つ。
目を閉じて肩で息をする。
「ゴメン・・・大丈夫か?」
この数日間何度も考えた。
今迄は嫌悪感をもたらすものでしか無かった欲望の灯った瞳が何故イヤでなかったのか。
気が付くと悟浄に触れられた唇に指で触れているのは何故か。
一人で何度も考え、答えは出ていた。

悟浄が顔を覗き込んで来る気配にゆっくり瞳を開き。
視線を逸らさない侭帯に手を掛けた。





丁寧に幾度も口付けられた。首筋から鎖骨へ辿り着き腹部へと降りてくる唇。肌に落ちる吐息と長い髪がくすぐったい。 脚を大きく広げさせられるのが恥ずかしくて目を閉じて頚を反らす。
「あ・・・っ」
腹に口付けながら悟浄が性器に指で触れる。 もう片方の手は何が面白いのか柔らかい膨らみもない胸をしつこい程に揉み解している。
「んんっ」
「気持ちイイんだ、ココ」
「ちが・・・っ」
かぷりと突然悟浄が胸に噛み付く。軽く歯を立てては舌で押し潰すと言う事を繰り返される。
「でも固くなってんぜ、ココ」
「な・・・っ、バカ、止めろ」
そう言うと悟浄は即座に身を引いたが代わりに次いで太股に柔らかく噛み付かれた。
「あ、」
髪がさらりと性器を掠りそれすらも刺激になり脚がひくりと撥ねた。 その侭悟浄の唇が脚の根元へと降りて来て舌で性器を舐め上げる。
「やめっ・・・」
そんな処を舐められるとは思いもよらなかった。 指で触れられるのとは全然違う湿度と熱さにそれでも自分が感じているのは間違いなく快感だと知りながら悟浄を引き剥がそうと指は赤い髪をひっ掴む。
「いてっ」
力の加減が出来ずごきんといきなり頚を上向かせられた悟浄と視線が合った。
「あんたね、こーゆー時は「イイ」とか「もっと」とか言うもんでしょ?」
小さく笑いながら悟浄が上体を起こし俺に覆い被さる形で裸の胸を晒して腕を伸ばし枕元をごそごそと探る。
「な・・・っ、てめえがいきなり・・・んな事するからじゃねえか」
そんなこっ恥ずかしい台詞言えるかと半ば怒鳴るようにして言うと悟浄は伸び上がっていた体勢を元に戻しにやりと笑った。
「次、何するか言った方が良いんだ?」
「・・・・・・う・・・」
言った方がも何も、行為自体初めてなのでどう答えて良いか分からず取り敢えず躙り寄る悟浄から身を離そうと気持ち、後退る。
「逃げちゃ駄目だって」
面白そうに笑う悟浄の両手に腰を掴まれ引き戻される。
「これからあんたのココにクスリ塗るから」
ココ、と言いながら触れられたのは思いもかけないような場所で。 そして悟浄の「クスリ」と言う言葉に何かヤバイものなのかと竦み上がりながら目を見開いて必死に上半身を起き上がらせようとする。
「あー・・・。ドラッグって意味じゃねえから。ココに俺のを挿れんの、この侭じゃキツイから入りやすくするようなクスリだよ」
言うが早いか起き上がりかけた俺をシーツの上に押し戻し再度脚を割り開かせられたかと思うと悟浄の指がそこに触れた。
「あっ、あああっ!」
悟浄の言う処の「クスリ」の所為なのだろう、悟浄の指は意外と抵抗なくそこを出入りしている。 が、無理矢理押し開かれる痛みはクスリでは消せはしない。
「ッ・・・!ひ・・・」
痛みに息を呑んでいる間にも中に入っている以外の指で支えるように広げられたその場所をじわじわと侵される。 悟浄、の長い指がとんでもない場所に入り込み、それだけでなく中で淫らな動きを繰り返す。 他人にこんな事を赦している自分が信じられなかった。 塗り込められた薬の所為だろうか、悟浄が触れている辺りから濡れたような音が断続的に聞こえて来る。
「あ、あ・・・・・・」
「三蔵・・・辛くない?」
そう訊ねる間も内壁を擦るように動く悟浄の指は止まる事が無い。 躯の中に差し入れた指を前後に動かして道をこじ開けるかのように狭い其処の奥の方に入り込んで来る。
「何ともない訳ねえだろ・・・っ」
「ゴメン、もうちょっとガマンして」
止めるつもりが無いんだったら訊くな、そう言ってやろうとすると悟浄が俺の前髪を掻き上げて額に口付ける。
ああ、コイツの口付けは好きだ。カラダの芯から痺れて何も考えられなくなる。
力が抜けた瞬間に差し入れられる指が増えた。痛みは感じるが、 それよりも指一本だって信じられないのに本数を増やされても入ってしまう事に驚いた。
「ん、ううっ」
足を広げた恥ずかしい格好で恥ずかしい場所を晒し唇を噛んで恥辱に耐えているなんて俺は一体何をしているのだろう。
「アンタ、本当に慣れてなくて可愛いな」
「・・・・・・っ」
こんな事慣れていてたまるか。
そう、言いたかったのに喉の奥から零れる呼吸しか吐き出せない。暫く体を強張らせて耐えていると悟浄の指が引き抜かれた。
ほ、と息を吐いて力を抜くが勿論それで終わりと言う訳ではなかった。
「じゃあこれから挿れるから」
前言通り本当に宣言し、力を抜いてろと言いながら悟浄が俺の両脚を抱え上げた。
挿れるって何をだ、矢張りアレか。
ちらと視線を下に向け悟浄の脚の間を見遣る。誰に支えられる事も無く天井を向いているそれ。
無理だ。そんなモノ入る筈がない。
「すぐ気持ちヨクしてやるから、力抜いてな」
内心冷や汗をかいている俺の心情を知らず腰を浮き上がらせた不安定な体勢を取らせ、悟浄が自分のそれを俺の中に挿入し始めた。
入る訳がないと思った。
指とは全然熱さも質量も違う。
痛くてひたすらに苦しい。
「力、抜けって・・・」
そう言う悟浄の声も苦しげだがどうしたら良いか分からない。と言うかこの場で力を抜くなんて、無理だ。
再び悟浄の指が俺のモノに触れる。
「ひゃっ」
驚いてついヘンな声が出てしまうが悟浄は構わずにそれに触り続ける。 やわやわと擦り上げられ熱が高まって行くにつれ、徐々に体から力が抜ける。
俺のそれから指を離す事なく脚を抱え直され悟浄のモノが俺の中を穿つ。
「・・・・・・ッ!」
無理な動きに押し広げられた場所がひたすら痛い。
声も出ない程の苦しさに口を開けて大きく喘ぐ。
「アンタの中、すげえ熱くて気持ちイイ・・・ッ」
そう告げる悟浄の言葉も荒い吐息混じりでいつものムカつく程の余裕を無くしているが、悟浄の方は苦痛を感じてはいないようだった。
翻って俺は、 嘗て感じた事の無い痛みに全身を強張らせ必死にシーツに肘を張って逃げ出そうとするが僅かな動きすらもが痛みを増幅してその目論見は達せられなかった。 じりじりと熱い楔が俺の中を切り裂くように侵入して来る。
「う、う・・・っ、クッ・・・・・・、」
全感覚が悟浄と繋がっている部分に集中していて苦痛の中、涙も出ない。
こんな行為を自分から強請るなんて俺は一体何を考えていたんだ。俺はバカだ。バカだ。大馬鹿だ。
与えられ続ける苦痛の中、そう自分を罵り続ける事で痛みから気を逸らそうとするが俺の両脚に掌を押し当てて大きく足を開かせて悟浄が尚も俺の中に入って来る。
「っ・・・、は、ぁ・・・」
歯を食いしばるよりも口を開けている方が若干だが痛みが和らぐらしく、必死に咽で息をしているとふと、悟浄の動きが止まった。
「あ・・・・・・」
「さんぞ・・・苦しい?」
優しげに耳元で囁かれるのに浅く息を吐き、瞳を閉じる事で答える。
「早く・・・」
抜け、と言うより早く悟浄が腰を引くがその動作に内壁が悟浄自身と一緒に引きずり出されるように蠢き、 苦痛に唇を噛んで息を呑む。悟浄には悪いが矢張り男同士では無理があったのだ。 止めてくれと、皆まで言う事は無かったが俺の言葉を悟浄が聞き入れてくれて良かったと、ほ、 と安堵の息を吐いた時悟浄が再びソレを俺の中に突き入れた。
「は・・・っ、ごっ、悟浄・・・っ!」
あまりの衝撃に抱え上げられた両脚が痙攣したように宙を蹴る。
再度悟浄が腰を引くが今度は俺はその動きに安堵を覚えなかった。まさか、また、と思う俺の危惧通り、悟浄が再び凶器を埋め入れる。
殺される、と思った。
「あ、あーっ!」
自分のものとは思えないような声が咽から零れる。間違いなくそれは悲鳴なのに何処か甘ったるい響きを伴っている事が信じられなかった。
悟浄が再び腰を引く。
もうイヤだ。止めてくれ。
再度押し入って来る楔。
「ア・・・ッ、い・・・っ」
痛みに力の入らない下肢。止めてくれ、言葉を紡ぎ出す事も出来ず意味の無い悲鳴を上げ続ける。
「三蔵・・・」
目尻に口付けられる。知らないうちにみっともなくも俺は泣き出していた。目の前に在る筈の悟浄の姿が滲んで見えた。
「三蔵、三蔵・・・」
唇を開き涙を舐め取りながら俺を呼び律動を繰り返す悟浄のソレが、不意にある場所に触れる。
「あっ・・・?」
脚、だけでなく腕までもがひくんと震えた。と、再度悟浄自身が緩い動きでそこに触れた。
「ヒ・・・ッ」
思わず声を漏らすと悟浄が緩急を付けた動きでそこだけを執拗に狙うように腰を蠢かす。
「ん・・・」
相変わらず悟浄の動くのに伴い自分の内壁も引きずられるように無理な動きを繰り返させられているが先程迄と違って悟浄が押し入った時に起こる感覚は痛みだけではなくなっている。 突き上げられる度体の奥底から甘い痺れが走る。
「は・・・っ、あ、ア・・・ッ」
力を抜け、と悟浄はもう言わなかった。
濡れた音を伴い抵抗なく何度も熱い塊が俺の内部を出入りした。
何を口走ったかは覚えていない。
莫迦のように口を開いてさんざ大声を上げた。
気が付いたら悟浄の手の中に精を放っていた。ひくひくと痙攣する後肢に熱いものが流し入れられる感覚に大きく仰け反った。
戻る続く

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